旬のもの・お知らせ
2015年02月10日(火) 12:02
【小林酒造訪問】 2015 立春会
2015年2月4日(水)、夜中の2時に出発し、酒蔵(小林酒造さん)へ向かい夜中から早朝にかけて搾ったしぼりたてのお酒をお店に持って帰り、事前にお知らせをして御予約をいただいたお客様限定(貸し切り)で立春会を行いました。
今回はその様子と、小林酒造さんの蔵見学もさせていただけましたので、ほんの一部ではありますが、皆様にご紹介できたらと思います。
まず、
◆立春朝搾りとは
旧暦での年初にあたる立春の日に搾りあがったお酒に、本年皆様の「健康・長寿・来福」を神社でお祈願とお祓いをしていただき、搾ったその日のうちに皆様の元へお届けします。
邪気を払い、福を呼び込む、生まれたての新酒で春を迎える、縁起の良いお祝い酒です。
◆立春朝搾りが皆様のもとへと届くまで
蔵元は夜通しお酒を搾ります。
蔵元は夜通しお酒を搾ります。
通常は、日本名門酒会に加盟している地元の酒屋さんでしかお取り扱いしておりませんので、酒屋さんに予約をするのですが、今回は丸喜も早朝から小林酒造さんをお手伝いし、お祓いを受けた後、その足で直接新酒を持って帰ってきましたので、皆様のもとへといち早くお届けすることができました。
飲食店が直接参加することは少ないようで、たくさんの酒屋さん方に混じって、微々たるながら作業をお手伝いして参りました。
◆小林酒造さんの歴史
江戸時代の中期頃、寛政4年創業、今年で223年になる蔵元さんです。
江戸末期~明治維新の歴史書にも登場する、早見川の名で知られた名門です。
当時の貴族達の歌にも残るほど、当時から製造技術が高くて、現在は国税局の評価会など専門家からの評価も高い、福岡や九州を代表する老舗だと言われています。
銘柄としましては「萬代」が一番有名でしょうか。
丸喜すしでは、その「萬代」をはじめ、「博多の森」や「竹滴」といった限定酒はもちろん、地元の更に限られた酒屋さんにしか卸していない稀少な生酒も、一年を通してその時期旬なものを取り扱っております。
酒屋さんに混じった私が見慣れない顔だったからでしょうか。
お忙しい中、代表取締役社長の小林弘さんがお声をかけてくださり、少しお話することができました。
蔵見学がしたいという私のわがままにも、快く承諾してくださりありがとうございました。
小林酒造さんでは、朝搾りをお手伝いした方々に毎年朝食を用意しているそうです。
今年はこちらのメニュー。
私もちゃっかり頂いてきました。
寒い朝に温かいご飯、本当に美味しかったです。
ここまで来て参加して良かったー!とホッと一息。
もっとゆっくりしていたかったのですが、蔵見学をお願いした手前、ちょっと急ぎめでお料理を頂き、おかわりしたい気持ちを抑えて見学に向かいました。
参考までに、こちらが日本酒の大まかな作業工程です。
ちょっと札が倒れているものもありますが、昔ながらの手法だとこうなるのですね。
歴史ある小林酒造さん、今は半分くらいは稼働してないそうなのですが、それでも広くて規模が大きめでした。
その中でも、一際香りの良いちょっと狭めのこのお部屋は大吟醸だけが管理されているお部屋で、お酒好きにはたまらない香りが辺りに充満しておりました。
綺麗な色の醪(もろみ)です。
タンクの周りに巻かれている白いものは、中に管がぐるぐると通っており、発酵の温度管理をしているものだそうです。
発酵温度でいわゆる甘口が辛口かに大きく分かれます。
これだけ良い香りが充満している大吟醸のお部屋なので、ここで蔵付き酵母について聞いてみたのですが、この場合、逆に住み着いている菌で発酵させると美味しくなくなるのだそうで。
菌の管理は徹底していると話されていました。
それから、ここで働く方々は、納豆や柑橘系の食べ物を食べた後は働けません。と言っておられました。
もちろん、蔵見学をする際にも納豆や柑橘系の食べ物を食べた後はできません。
こちらは槽(ふね)と呼ばれるもの。
発酵を終えた醪を搾って、酒と酒かすに分離するために用いられる道具です。
小林酒造さんでは、このような昔からの槽と、機械で搾るものと2つあるそうで、搾る時の圧が違うと言っておられました。
いわゆる、上質と言われるお酒ほど圧の弱い昔ながらの槽で手間暇かけて搾っていて、機械で搾る方は、安定して圧をかけることができ量産できるようです。
こちらで搾った酒かすも、今回頂いて帰ることができましたので、帰って皆様に旬な苺と和えて召し上がっていただきました。
この酒かすは、立春朝搾りに参加した人だけの特権でした。
そうして、今回2015年の立春会に持ち帰ったお酒がこちら。
前年までと比べて、掛米が大きく変わり、味わいも控えめで、お料理と一緒に楽しむにはより良い作りになりました。
今までは山田錦100%でしたが、今回からは、地元の夢一献を78%使用し挑戦したものだそうです。
テレビなどで大きく取り上げられ、全国的に有名になってしまった銘柄が山田錦を高く買い取り、その分消費者に高く売るといったような事が問題視されているので、こういった地元のものを使って、より良いものを造ろうという試みはもっと皆に知られるべきだと思いました。
少し大変ではありましたが、また機会があれば立春朝搾りに参加して、皆様にいち早くお届けできれば良いなと思います!
ただ単に、酒屋さんに予約をして手に入れる立春朝搾りとはまたひと味違った経験ができました。
今回お世話になった小林酒造さん、本当にありがとうございました。
今後の立春会の予定はまだ未定となっておりますが、口頭、もしくはお便りかこちらのホームページでのご案内になるかと思います。
今年は一斉にお知らせをし、先着順で貸切営業とさせていただきました。
今後、立春会を開催する際には、是非皆様ご参加をご検討くださいませ。
【酒蔵訪問記 鹿児島編】はこちらをクリック